APDとは

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APD(聴覚情報処理障害)とは

聴覚情報処理障害とは、聴力に問題ないのにも関わらず、日常生活のさまざまな場面での聞こえづらさが起きることです。

APD(聴覚情報処理障害)の症状

・聞き返しや聞き誤りが多い
・雑音など聴取環境が悪い状況下での聞き取りが難しい
・口頭で言われたことは忘れてしまったり、理解しにくい
・早口や小さな声などは聞き取りにくい
・長い話になると注意して聞き続けるのが難しい
・視覚情報に比べて聴覚情報の聴取や理解が困難である

APD(聴覚情報処理障害)の原因

APD(聴覚処理障害)は耳の異常ではなく、脳の特性や障害が原因で起きます。

そのため、APDの原因はさまざまです。

今回はその中から4つの原因について取り上げ、解説していきます。

原因
・発達障害
・認知的な偏り(不注意・記憶力の弱さ)
・心理的な問題
・脳の外傷や病気

発達障害

APD(聴覚情報処理障害)の原因のうち最も多いのは発達障害です。

発達障害とは、生まれつきの脳の認知機能の発達の偏りによる障害です。

幼少期から得意・不得意が顕著に現れたり、他人の気持ちを理解するのが苦手だったりする特徴がみられます。

発達障害をもつ人の多くは、耳からの情報に弱い傾向にあります。

・雑音の中で人の話を聞き取れない
・聞き間違いが多い
・メモを取るのが苦手
・話が長くなると理解できない

このことから、発達障害を持つ人は、APD(聴覚処理障害)を生じやすいと言われています。

なお大人になってから発達障害を指摘され、同時にAPDも診断される方もいますが、これは大人になってから障害が生じたということではありません。

子供のうちに発達障害を見逃された人が、大人になって診断されたというのが正しい理解です。

認知的な偏り(不注意・記憶力の弱さ)

発達障害には該当しないけれども、不注意や記憶力の弱さなど脳の認知的な偏りが原因でAPDが生じていることもあります。

私たちが会話を聞き取るときには、次の2つの行動を繰り返す必要があります。

・相手の話に注意を傾ける
・話の内容を理解しながら記憶を更新していく

つまり人の話を聞くには、注意力と記憶力が必要不可欠なのです。

注意力または記憶力のどちらか1つでも弱さがあると「聞き取りづらい」という症状が生じます。

心理的な問題

APD(聴覚処理障害)は脳の障害や特性だけでなく、過度な不安やストレスによって生じることもあります。

不安やストレスは、話を聞くときに必要な認知機能の1つである注意力を阻害します。

その結果、相手の話に注意を向けることができなくなり、聞き取りづらさを感じてしまうのです。

しかし、不安やストレスなどの心理的な問題によるAPDの発症は、後天的なもので、それらの原因を取り除く、または和らげることで、症状は改善していきます。

現在、不安やストレスが原因のAPDの患者数は少ないです。

しかし、新型コロナウイルス蔓延による社会不安から、心理的な問題でAPDを発症する人は今後ますます増えていくことが予想されます。

脳の外傷や病気

脳出血や脳梗塞の影響で、耳から脳に伝わる片側の中枢神経系の途中で何らかのダメージを受けた場合、「聞こえるけれども言葉を聞き取れない」という症状が生じます。

片側の中枢神経系に障害を負っているというのが大きなポイントです。

もし、両耳の中枢聴覚神経系に障害を負うと、人の言葉が外国語のように聞こえて、まったく認識できない「ごろう」という症状が現れます。

片側の中枢神経に障害を負うと、両耳から得られる情報のバランスが偏り「聞き取りにくさ」を感じます。

脳の外傷や病気によるAPDの場合、聴力検査では異常が見られません。

しかし、両耳に違う言葉を聞かせて両耳とも聞き取れるかという「両耳分離聴検査」をおこなうと脳のダメージを受けた反対側の耳で明確に聞き取れない言葉が出てきます。

この検査をすることにより、APDがわかります。

APD(聴覚情報処理障害)の対処法

残念ながら、今のところAPDの医学的な治療法は見つかっておりません。

しかし、APDの「聞こえづらさ」を改善するための対処法はいくつかあり、それらを実践することで症状の軽減や改善が期待できます。

ここからは、APDの対処法を4つご紹介します。

APDの対処法
・環境調整
・聴覚トレーニング
・補助手段の利用
・心理的な支援

環境調整

APDの対処法の中で、環境調整が重要です。

APDの方は、原因が違っても雑音の中では症状が悪化します。

雑音がなければ聞き取れる人も多いので、雑音を減らす工夫をしましょう。

日常生活で会話をする時はテレビを消したり、静かな場所に移動して雑音が入る環境をなるべく避けるようにするとよいでしょう。

また、会社や学校などでは、周りの人に「聞こえにくい」ということを理解してもらい、できる限り協力をお願いすることも大切です。

周りの人ができること
・大切な話をする時は、静かな場所に移動してもらう
・ゆっくりと大きな声で話してもらう
・繰り返して言ってもらう
・話しかける時は、肩をたたいてもらう

聴覚トレーニング

APDは、「聞き取り」の訓練をすることで症状の改善が期待できます。

聞き取りの訓練は様々ですが、最も効果的なのは、人と会話することです。

ですが、APDの方の中には、「聞き取りづらさ」を周りに気づかれるのを恐れて、会話を避けてしまう人も多いと思います。

そういう方は、自分の親や兄弟などの身内の方(気を遣わないでいられる人)とはどうでしょう。トレーニングと思い、コミュニケーションをとることをおすすめします。

補助手段の利用

日常の聞き取りにくさをサポートする補助手段を利用するのも1つの方法です。

たとえば、周りの雑音で、会話の内容が聞き取りづらい場合、音声を認識し文字変換するアプリを利用します。

聞き取れなかった部分が文字となって表示されるので、理解できなかった部分を聞き返すことなく確認できます。

複数人で会話をやり取りする、会議の場合は一人一人の音声が聞き取りにくいこともあるので、ボイスレコーダーの利用がおすすめです。

また最近の補聴器は、雑音を取り除く機能が付いているため、耳に異常がなくても補聴器をつけることで、聞き取りにくさが改善されることがあります。

心理的な支援

ストレスや不安などの心理的な問題により、脳の認知機能が低下し聞き取りづらさが生じることがあります。

ストレスや不安が原因の場合、カウンセリングなど心理的な支援で、APDの改善することができます。

APDを疑ったら、まずは耳鼻科を受信しましょう。

聞こえづらさの症状が出る病気や障害はさまざまで、APDでない可能性もあります。

とくに難聴とAPDの症状は似ているので、耳鼻科で聴力検査をしてもらい、耳の異常がないか確認しましょう。

もし、耳鼻科で聴力に問題ないと診断され、それでも症状が改善されない場合はセカンドオピニオン(別な専門医に第2の意見を求める事)するのも一つの方法です。

APD(聴覚処理障害)チェックリスト

APDは日本で未だ周知されていない症状なので、耳鼻科の医師であっても知らないことがあります。

そうすると、耳鼻科で聴力に問題ないと診断された場合、そこで診断が終わってしまうこともあるのです。

その時は、セカンドオピニオンをすべきなのですが、聞こえづらさの正体が分からないまま、日常生活を送るのは辛いものです。

不安な方は、チェックリストでAPDの傾向があるか調べてみましょう。

こちらは、フィッシャーの聴覚情報処理チェックリストと呼ばれるもので、APD専門の病院では予備問診として使用されています。
フィッシャーの聴覚情報処理チェックリスト



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